松本さんの論文がScientific Reports誌に採択されました

本研究(Development of spray-drying-based surface-enhanced Raman spectroscopy)は、表面増強ラマン分光法(SERS)の新しい基板作製法として、スプレードライ法の適用に成功し、超高感度の分子検出と高い再現性を実証しました。この研究成果が高く評価され、国際誌Scientific Reportsに採択されました。本成果は、分子センシングの感度向上や環境安全分野での応用に関する新しい知見を提供するものであり、今後の研究開発や産業応用への展開が期待されます。

 

 

表面増強ラマン分光法(SERS)とは?

表面増強ラマン分光法は、物質の表面にある分子の振動状態を検出する分析技術の一つです。通常のラマン分光法では、弱い信号しか得られないため、低濃度な場合や、表面が不均一な場合は分析が難しいことがあります。しかし、表面増強ラマン分光法(SERS)では、直径数ナノメートル(非常に小さいサイズ)の金属粒子を表面に置くことで、表面の分子と金属粒子との相互作用によってラマン信号が増強され、非常に微小なサンプルでも検出することが可能といわれています。

 

SERSが解決する課題とその効果

SERSは、その「高感度性」と「高再現性」によって様々な分野で注目されています。

いくつかの応用例を紹介していきます。

①水質汚染対策

水中に含まれる微量な有機化合物や金属イオンの検出に役立ちます。例えば、水道水の品質管理や、河川・海洋の水質調査、有害物質の検出、微生物の分析などの環境保全の現場で利用されています。

 

②食品の品質管理

食品中に含まれる成分の定量や鑑定に役立ちます。食品に付着・混入した農薬成分や、微小な異物を早期検出することで、私たちの食の安全・安心を守ることが可能です。

 

③医療分野

がん細胞と正常細胞の違いを検出することで、がんの早期発見や治療に役立ちます。

 

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