玉舘さんの博士論文が金沢大学のPapers of the Month(2021年1月)に選定されました

 

本研究(The charge reduction rate for multiply charged polymer ions via ion–ion recombination at atmospheric pressure)では、連続体-分子動力学モデルを用いて、多価に帯電した高分子イオンの電荷減少速度を定量的に評価しました。具体的には、イオン-イオン再結合による電荷減少速度を解析的に評価し、気中での物理化学過程に伴う分子構造の影響を考慮に入れました。その結果、多重帯電高分子イオンが大気中で失う電荷の速度を、分子スケールの詳細な解析に基づいて予測することができました。

 

アメリカの研究員として活躍中(右:玉舘知也)

 

Q. 連続体・分子動力学シミュレーションとは?

連続体・分子動力学シミュレーションは、現実世界の物理現象をコンピュータ上で再現する技術の一つです。連続体とは、物質が一様な質量密度を持つものを指し、液体や気体が連続体の例です。分子動力学とは、物質を構成する分子や原子が存在する系を考え、それらの動きを時間変化で追跡する手法です。つまり、物質が構成する分子や原子の個々の動きを計算して、その動きがどのように相互作用して物質の性質を決定するのかを予測することができます。

 

Q. 解決する課題

具体的には、例えば薬品の開発において、分子動力学シミュレーションを用いることで、薬品がどのように反応するのか、どのような効果を持つのかを予測することができます。また、材料開発においても、材料中の原子がどのように結合しているのかを分子動力学シミュレーションで予測することで、材料の物理的性質を理解し、改良することができます。

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